投資信託を買って、利益がちょっとずつ増えてくるとうれしいもんですね。
個別の株式だと、会社が利益を出すと株主に対して「配当金」を出しますよね。一株あたり何円、といった感じで、決算が終わると利益の中から「株主さんのおかげで今年ももうかりましたぜ、げへへ」という感じで※お金を払ってくれます。
※偏見です。
投資信託にもそれに近いものがあって、運用がうまくいってある程度の利益が貯まってくると何らかの形で受益者(つまり投資信託を購入した人)に分配金というものを払ってくれます。1万口あたりいくら、という感じですね。
この何らかの形で、というのが実はちょっと曲者なのですが、大まかにいうと2種類あって、「利益のウチいくらかをそのまま我々に払う」か、「利益を直接的には払わず、そのまま運用資金に回す」かのどちらかです。
投資信託で出た利益をすぐに使っちゃう、飲みに行く!というケースもあるでしょうけど、長期で投資する場合は、利益が出た分でさらに投資信託を買うというのが割と賢い選択だったりします。
そうすると、いったん払ってもらったお金で再度投資信託を買う(つまりこれが「再投資型」です)のと、そもそも分配金として受け取らずに内部でとどめる「無分配」のどちらがいいかという話ですが…まあタイトルの通りで、「無分配」の方がいいですよね、ということです。
分配金を再投資する
投資信託によって分配金が支払われるタイミング等は異なります。証券会社のランキングなんかだと、毎月分配型といって、毎月分配金が支払われる商品が人気だったりするそうです。(これはこれでどうなの?という話もありますが)
まあ普通は年1回や半年に1回の決算で、利益が出た分(この辺の基準も若干あいまいですが)を分配金として受益者に払います。この時のポイントとして、支払われた金額の分、投資信託の価格(基準価格)は低下します。
これはまあ考えれば当然で、たとえばトータル100億円分の資金を集めている投資信託があったとして、そのうち10億円をみんなに配れば残りは90億円です。
ですから、当然1口あたりの価格は10%下落することになるわけです。
ただ、これそのものは別に損したことにはなりません。だって減った分が現金として戻っただけですから。
…と、思うじゃないですか。
実は、この時受け取ったお金(利益の分です)には税金がかかってしまいます。現在の税制だと20%+復興特別税分ですかね。計算が面倒なので20%ということにしときますが、先ほど配った10億円のウチ、2割はお上に納めなければいけません。
(実は分配金の中に投資家の元本が含まれていると、その分には税金がかからないんですが、それってただ預けたお金を突き返されたようなもんですから当然ですよね)
つまり、実質我々投資家は8億円しか受け取れないということです。とすると、運用会社に残った90億円+手元に戻った8億円で、何も悪いことはしていないのに合計98億円まで減少してしまうということになります。
まあ納税は市民の義務ですからね。いや、別に払いたくないわけじゃないですよ、市民!?
長々書きましたが、分配金を出すタイプの投信だと、分配金を出されるたびに税金を払った分は最低でも目減りしてしまうということになります。税金を払った後のお金を再投資してもやっぱり減った分は減ったままなので、どうしても投資効率は悪くなります。
無分配の投資
無分配の投信だと分配金は支払われませんから、決算ごとに税金がかかることはありません。100億円あったらそのまま次に持ち越されて運用されていきます。それが延々続きますから、分配金を再投資した場合と比べると長期的には結構な差になってきます。
いや~、ホントは税金払いたいんですけどね。分配されないんじゃ仕方ないですよね。
そういうわけで、仕方なくそのまま預けておくと、複利効果も相まって10年後とか20年後には大きな利益を生んでくれるわけです。
もちろん「とりあえずすぐに現ナマを払ってほしい」タイプの投資家の場合は、無分配型の投信を買ってしまうと解約するまで1円も戻ってきませんので、フラストレーションを貯めてしまうかもしれません。
長期的には無分配が有利なのが理屈ではわかっていても、性格的に嫌!であったり、定期的な分配がないと落ち着かない、という人にはちょっとつらいのかもしれないですね。
将来を見越すなら「無分配」を選ぶべし
分配されたお金を都度再投資するより、最初から分配されない「無分配」の方が長期投資する場合は有利です。老後のお金や将来に備えるお金であれば、そういった方向性の投資信託を選んだ方がいいでしょう。
ただ、もしすでに分配金が出るタイプの投資信託を買っていて、引き続き投資を続ける、ということであれば、次善の策として再投資するといいのではないでしょうか。
まあ、いずれにしても無理のないように投資をするのが長く続けるコツだと思いますし、長く続けることが一番の投資法であることには疑いありませんけどね。