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ドルコスト平均法ってナンピンと違うの?

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投資の方法にはいろいろあると思いますが、一つの手法に「ドルコスト平均法」というものがあります。「ドル」とは言ってますが、別に為替がどうとか、アメリカ独自の手法というわけではなく、日本円で日本の市場でも普通に使える方法です。

ものすごく簡単に言うと「ある期間毎に、毎回一定の金額で投資する」方法です。

知ってる人は知っている、的な投資法のようですが、確定拠出年金の教育なんかでも話を聞くことがあると思いますので、比較的メジャーな投資法ではないでしょうか。(興味ない人はたぶん聞き流してるでしょうが)

この方法で投資をすると、高いときには少ししか買わず、安いときにたくさん買うことになるため、リスクを下げることができるといわれています。

なんだかそう聞くと、株価が下がったときに買ういわゆる「ナンピン」とか、ギャンブルで勝まで倍々にかけていく「マルチンゲール法」なんかが思い出されますね。私だけ?

なんか違いってあるんでしょうかね?

ドルコスト平均法とは

まずはドルコスト平均法についてちょっとまとめてみましょうか。

ドルコスト平均法って何?

株を買うことを考えてみます。普通は100株とか1000株とかいう単位で購入することになると思います。1株1000円の株を100株とかまとめて買うと、10万円かかる、みたいな感じになりますね。

もし毎月100株買うとすると、1か月目は上の例でいうなら10万円で買えます。

次の月には一株が1200円に上がってました。値段が上がってうれしい反面、今月は投資する額が増えてしまいました。12万円です。

2か月で合計22万円の分の株を買いましたから、一株当たりは平均で1100円分ということになりますね。これが普通の買い方だと思います。

ここでちょっと考えを変えます。ひと月に100株ずつではなく、必ず10万円分買うことにする、と決めます。

1か月目が1000円だと100株買えますが、2か月目は一株1200円ですから、100株は買えません。83.33333…株になります。小数点以下は切り捨てて、83株だけ買えるになります。

このように、毎回決まった金額の分だけ株などの証券を買う投資法がドルコスト平均法です。

ドルコスト平均法の実践

実際にやると、先ほどのように端数が出てしまいますし、そもそも普通株には単元という考え方があるので、中途半端な株数では買えなかったりします。

実際ドルコストをやるのであれば、投資信託のように細かい調整が効く商品がいいでしょう。

毎月10万円分だけ、積み立てのように買っていく、という感じになると思います。

ドルコスト平均法の効果

ドルコスト平均法の主な効果としては、買い付け単価を下げるというものがあります。実際どうなのか、先ほどの例を使って(あと電卓を使って)計算してみます。

まず毎月100株ずつ買うケースでは、2か月買うと一株1100円になりましたね。

では、毎月同じ額の分だけ買うと一株当たりいくらになるんでしょう。

2か月で20万円分購入して、183株買えてますから、電卓をポチポチすると…1092.896~円になりました。四捨五入しても1093円ですので、100株ずつ買った場合より7円ほど安く買えている、ということになります!やったね!

で、そもそも単価が安くなると何が嬉しいか…ですが、値上がりした場合には当然安く買えている分、一株当たりの利益が大きくなりますし、逆に値下がりした場合でもちょっと安い分、リスクを和らげてくれます。

ナンピンとの違い

さて、買い付け単価を下げる手法といえばナンピンもありますよね。

ナンピンのおさらい

ナンピンについては説明が要らないかもしれないですが、簡単に言うと値段が下がったらさらにその安い価格で株を買っていく、という方法です。一般的には悪手といわれていますよね。

もともと1000円を100株買っていた株。株価が900円に下がっちゃったので、100株追加で買う。すると一株あたり950円になるので、株価が1000円まで戻らず、950円になったところでチャラになるというわけです。

株が下がっている中どんどん買っていくと、普通に考えても損失が大きくなっていきますし、値上がりなんていつになるかわかったもんじゃありません。

信用取引なんかしてたら最悪です。

そうじゃなくても、延々上がらない株を大量に持ち続けるのは結構苦痛ですよね。

中にはナンピンして利益を上げる人もいるかもですが、まあほとんどの人はそのまま退場するだけですから基本、やらない方が無難です。

ドルコスト平均法とナンピンの違いとは

同じ買い付け単価を下げる二つの手法ですが、これって何が違うんでしょう。

1.買いの単位が数か金額か

1番の違いはこれですね。ナンピンは○○株買う、というような買い方ですが、ドルコストは○○円買う、という買い方です。これは値下がりする中では大きな違いです。

先ほどの例だと、ナンピンした場合は一株あたり950円になりますが、ドルコストではちょっと変わってきます。900円を10万円分買って111株買うことになります(相変わらず端数無視で)から、一株当たりの金額は947.86円と、ナンピンした場合より安くなります。

2.ナンピンは基本的に撤退戦術である

ドルコストは淡々と同じ額を買っていくと最終的に安く買えてる、という手法ですが、ナンピンはせめてチャラにしたい、という場合に使う逃げの一手です。そもそも、値上がりを期待して購入したものが値下がりしたのですから、判断の誤りを是正して損切りなりをした方が合理的な判断だといえます。

ドルコスト平均法の買い方では、別に価格が下がってもそれはそれでOKという考えです。(安く買えてラッキーくらいの感じ)長期にわたって平均的に購入していきますし、購入対象も0になる可能性がきわめて低い投資信託やETFが主ですから、リスクを低く抑えていくことができているのも大きいですね。

3.タイミングを考える必要の有無

ナンピンはある程度下がったとき、タイミングを見計らって売買するものですが、ドルコスト平均法は決まったタイミングで買うので特に判断は不要です。

まとめ

ドルコストはある程度戦略的に値上がりや値下がりを利用していますが、ナンピンはその場に合わせて対応する形になりがちです。

天才相場師なら別でしょうが、大抵は失敗して大きな損失を出すことになります。

同じ単価を下げる方法ですが、両者は結構違うものなのです。