この前の記事では確定拠出年金のメリットについて書いていました。
この制度は結構お得な制度なので、掛け金を一杯に使って効率よく投資されている方も結構いるようです。
私は企業型の確定拠出年金を使っていますが、ウチの会社はまだマッチング(会社からの拠出に加えて自分でも負担するシステム)に対応していないので、限度額いっぱいまでというわけにはいかないですが。
さて、物事にはいい面と悪い面があるものですが、この制度のちょっと気を付けたいこととして、確定拠出年金は途中で解約したり引き出したりすることが原則不可能という面がありますが、ご存じでしょうか?
確定拠出年金は解約不可能・途中で引出も不可能
さて、解約と表現してますが、正確には脱退というところでしょうか。
確定拠出年金が普通の証券口座や銀行口座と大きく違うのは、好きにお金を引き出したり解約して全額おろすということができない点です。
「ちょっと!自分のお金が好きにおろせないってどういうこと!?」
と、思いますよね。わかります。
それには一応理由があって、ちょっと長いんですが、確定拠出年金法の一部を引用します。
あ!面倒な人は飛ばしてもいいよ!
この法律は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の多様化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、個人又は事業主が拠出した資金を個人が自己の責任において運用の指図を行い、高齢期においてその結果に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定拠出年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
小難しいこと書いてますが、要は「これってお前らが自分の責任で運用する老齢年金だからな。まあちょっとおまけはしてやるけど、全部自己責任ということで一つ」ということです。
年金ですから60歳を超えるまでは受け取れないし、損しても知らん!ということです。
かなり厳しい解約条件
そうはいってもいろいろ事情があるんだよ、という人には脱退して一時金という形で支払われることもあります。
が、これが厳しい条件なので普通に生活していたらまず満たしません。ですから、たとえば家を買うからお金をおろしたい、車を買うから…とかいう理由では絶対に認めてくれないわけです。
さて、認めてもらう条件は、大まかにいうと以下の通りです。
- 確定拠出年金の加入要件を満たさなくなったこと
- 年金資産がとにかく少ないこと、または拠出していた期間が短いこと
- 確定拠出の障害年金を受給していないこと
- 資格喪失から2年たっていないこと
それぞれ説明していきますよ。
1.確定拠出年金の加入要件を満たさなくなったこと
これはたとえば会社員として働いていたけど結婚して専業主婦になった、とか(サラリーマンの妻は現時点では加入できないのです)海外に住むことになった、とかそういうことです。
まあこれ自体は満たす人はいるともいます。「加入できないんだからやめるしかない→やめるんだから金返せ」というもっともな理屈です。
ただ、逆にいうと加入の条件を満たしている限りは絶対返してもらえないということでもあります。
2.年金資産がとにかく少ないこと、または拠出していた期間が短いこと
ここがネックになる条件です。少ないのはどれくらいかというと50万円以下で、拠出していた期間は3年以下でないといけません。これだとちょっと張り切って拠出したり、就職してから漫然と払っているとすぐに条件からはみだします。
ちょっと振り込んでおいてアベノミクスっちゃうとすぐですね。(言いたいだけ)
3.障害年金を受給していないこと
4.資格喪失から2年たっていないこと
この辺はまあ、そんなもんかなということろでしょうか。
あ、一応番外編として死亡一時金というのもありますが…(/_;)
資産を確定拠出年金に振り分けすぎるとかえって面倒なことになるよ
これは特に上の条件2があるために、制度をお得に利用するために金融資産の多くを確定拠出年金につぎ込んでしまうと、いざ60歳前にお金が必要になった時に使えない!ということが起こり得るということです。
個人型確定拠出年金の拠出限度額が6万8千円ですから、常にフルでかけ続けると結構な金額になるので何もなければいいのですが。
他に貯金や投資をあまりしていない、となっていると見かけではすごい金額の資産があるはずなのにいざというとき1円も使えなくて大変ということになってしまうのです。
結局バランスが必要ですよね
確定拠出年金は非常に有利な制度ではあるんですが、それだけに資産を振り分けすぎると何かの時のお金が無くなってしまいます。あくまで老後に備えた制度であって、NISAのようにガンガン投資して頂戴的な制度ではないということです。
まずは手持ちのお金や、すぐ現金化できる投信などをある程度確保して、その上で老後に備えるために制度を活用しましょうね。